日本神話において醜いと揶揄され認知されている女神とは?
日本神話から大人の女性の在り方を伝え、ひめ神カードを通じて女性性を開花させるのが私の役割の一つで
お名前は知らないことがあっても、ああ聞いたことあるかもというのが、日本神話のひめ神様
若い男神に見初められた美しい妹と一緒に嫁いで、「醜い」という理由で追い返された磐長姫(いわながひめ)
姉妹を一緒に嫁がせた父である山の神の真意を知らずに追い返したため、その後人の寿命は永遠ではなくなったと言われるエピソード
この若い男神が瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、美しい妹が木花咲耶姫(このはなさくやひめ)
このお話から、美醜の部分だけが切り取られやすくビジュアルや言葉においてもそこだけが一人歩きしている磐長姫ですが、短いこのお話の中に秘められたもの、隠されたものを知らずにいることが多いのではないでしょうか?
いわながひめの本質とは何か?
では磐長姫とはどんな女神様なのでしょうか?
岩の女神であり、その力は永遠に変わらぬ、続くものを表す
磐石という言葉がありますよね?
堅固でしっかりしていて不動のもの、そこから変わらない、揺るがないものという例えに使われる言葉です。
千代に八千代にさざれ石の巌という表現にもあるように、千代に八千代に渡る繁栄をもたらす存在であるからこそ、山神である父は、妹姫と一緒に天孫である瓊瓊杵尊へ嫁がせたのですが、「醜い」ということで返された。
「醜い」この言葉の奥に隠されたものが今回の大きなテーマです。
美醜の表現で捉えると「みにくい」は「美しくない」になりますが、別な側面で捉えた時に「見にくい」となります。
美醜ではなく、本質的なもの、大切なものは見えにくい。
それを見抜き、見守り、見届けるのが磐長姫の本質的なお力です。
見抜く力は一瞬のようで、積み重ねた経験や見識がなければ育まれないもの。
どっしりと岩のように見守り続けるのは、地味すぎるほど地味ですが尊く、見抜いて、見守り、成熟し次の段階まで見届ける変わらぬ愛を永遠に持ち続けるというお力です。

そもそも神話が伝えたいこととは何か?
まだ未熟であった瓊瓊杵尊には、表面にだけ捉われ磐長姫の本質が見えにくく、山神の真意も含め全てを見抜けなかった。
この後に繋がる、妹の木花咲耶姫と瓊瓊杵尊のお話も含め、こうしてみると瓊瓊杵尊って、クズでだめんずじゃない?と思われると思いますが、そもそも神話とは何を伝えるために在るものでしょうか?
ひめの学びの中で、神芝居という言葉を教えていただいた時に非常に納得したのですが、神々は私たち人にわかりやすいように、大切なことを身を以て演じてくださり、神話として残してくださっている。
人の表面しか見ない未熟さや、相手を疑う軽率さ、見ないでと言ったのに約束を破ってしまう不誠実さ、引き篭ったり、駄々をこねてみたりと、エピソードの奥に隠された真意を読み解き、それを日常に活かして御霊(みたま)を磨いていくこと。
日本人は連綿とそれらを受け継ぎ文化を継承していましたが、近年それがプッツリと断絶されてしまったために、私たちはたくさんのことに迷い悩み苦しんでいます。
自国の神話に込められた神々の御心、それは私たちへの不変の愛を持って見守ってくださっているのです。
大切なことは見にくい。目に見えないことが多くても見抜く力、日々積み重ねて築く繁栄の力。
磐長姫のお力は私たちの内側に種として在るのです。
神話の一部を切り取らずに奥に流れている叡智があるということを忘れないでください。